#5 寝床の発見と大移動

狩猟日記

師匠に雪が少なかったけど歩いていってみたよ、という話をしたら「俺の考える今行けそうなところ、いってみるか」という話になり出かけることになった。

朝、張り切っていたのか約束した時間の25分も前にお迎えにやってきた。早い。

まだ銃もロッカーから出してないよ、と思いながら急いで準備をした。


「ありゃー、こりゃだめだ」

向かった先は除雪がされておらず、想定していた出発地点にたどり着けない。師匠の考えた計画は白紙に。

じゃあ、○○の山に入ってみるか、と連れてってくれた先は、先日夫と登って1発発砲した場所だった。

この前は鹿がたまたまいたのか、それともよくいる場所なのかが気になって見にいきたかったからちょうど良い。


結果から言うとその日は撃てるタイミングがなかった。

積雪が浅いと、鹿もこちらに気付いてすぐ走っていってしまう。

雪が深いときは若干躊躇して道を選んで走って行ったり、深いところを走ると必ず疲れて止まるタイミングがある。この時期は難しい。


そろそろ疲れたから、少し先まで行ったら折り返すか、とりあえずお茶飲むかと銃とリュックを下ろしていると、15m先のあたりを猛スピードで鹿が3頭走っていった。

二人でキョトンとする。

一体どこにいたのだ、全く気がつかなかった。


面白かったねと言いながら歩いていたら、今度は30mくらい上に7頭の群が草を食べながらノロノロ歩いていた。

こちらにも気付いていない。

ただ、鹿が歩いているのが山のてっぺんだから撃てない。

弾が外れた時に後ろに壁がないと、弾がどこに飛んで行くかわからないので危険なのだ。

バックストップができた時に撃てないかと銃を構えたが、そのうち一頭がこちらに気付いて一斉に走り去っていった。


運がない。いや、縁がないのか。

折り返したそのあとも何頭か出会ったが、逃げ足が速くて撃つこともできなかった。


思ったより鹿がたくさんついていた状況に興奮して「明日も行こう」と約束をした。


次の日、同じ山に登る。道は昨日と違って、入り口付近で急登し、高い場所から回る作戦になった。

まだ積雪が少ない。昨日通った道よりも長い間使われていないのか、倒木が多く笹の背も高い。歩きにくかった。


高さのあるところから見ているから、昨日通った道よりも鹿が見つけやすいはずなのに、2頭逃げて行く姿を見ただけで、鹿の数は多くない。

かなり上の方まで歩いて行ったら、鹿の寝た跡(大きく雪が溶けていて、糞が溜まっている)が9つあった。

鹿の寝た跡、足を畳んでいる様子までくっきりわかる

「こりゃ移動したかもしれんな」

数日積雪もなく風も弱いから、南斜面に群れが移動したのかもしれない。

そのあと見たのは、冒頭に見かけた鹿と同じ個体(たぶん)だけだった。


この日も空身で帰宅。

狩猟に同行していたここ何シーズンかの中でも、今年は渋い。

この日は寒くて枝がかりんとうみたいになっていた。綺麗。こういうの見れるのが山に入る時好きなこと。
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