#1 冬の始まり

狩猟日記

今季初の狩猟に行くことになった。

夫と二人。雪は降ったけどまだ積雪は十分ではないためスキーは履けない。車で獲物を探す流し猟である。

前日、あーだこーだ言いながら荷造りをする。車での移動なので、それほど厳密に必要なものもない。


朝、目覚めたらすでに日の出の時刻、起きる予定の時刻を30分過ぎていた。

仕事で疲れている夫、起こすのも忍びないという言い訳をして私も目を閉じる。


狩猟を初めてまだ1年も経っていないが、経験則から雪が浅いこの時期はまだ昼間に鹿に会うことはあまり多くない。

したがって日の出と同時にすでに鹿の餌場に到着している必要があると思っている。(日の出時刻前は銃の発砲が禁止されている)

今から家を出て行ってもあまり期待はできないか…と思いつつも昨夜せっかく刃物を研いだり準備をしたし…


朝からネガティブな持論を説いた末に出かけてみるが、鹿の足跡はあるが、生きている鹿は近くにも遠くにも一頭も見ることができなかった。

ただの林道ドライブだ。車にも一台も会わなかった。

あまり銃に慣れていない夫が銃操作や構えを屋外で練習し(家の中では弾を入れていなくても何だか怖い)、この日は終了。

今日の収穫はとにかく景色が綺麗だったことくらい。


同じ「獲物に会えない日」でも、歩いて行く(私たちの場合はスキーで歩く)忍び猟と、車での猟は感覚が違う。

そもそも雪の中の景色や空気が好きで、その上にスキーを履いて立っているだけで私はほぼ幸せである。しかも、山にはスキー場のようにごみごみとした人間もいない。

獲物に出会えなくても穏やかに雪の中を散歩するレクリエーションをしてきたも同然、疲れはするが外で歩くことは身体には良いことだと思うし、獲物を持たずとも清々しい気持ちで帰ることができる。(荷物が軽くてよかった、と思うことすらある)

だがこれが車での猟になると、面白くない。単にガソリンを使い、森林に二酸化炭素を撒いているだけだったな、という気持ちで終了。


しかしこれから先のことを考えると、温暖化で雪が少なくなるとスキーを履いて山に入れる期間は限られて来る。

車での猟も多少なりと身につけておかなくては、肉にありつけなくなってしまう。

そして単に経験不足なので、銃を撃つ練習がしたい。

そのために流し猟にはいかなくては、とは思うがさほど気は進まないので早くスキーが履ける積雪量にならないかなと願うばかり。


今読んでいる服部さんの本がとても面白い。

宗谷岬から襟裳岬までを犬とサバイバル。

北海道民として、立地や距離感がわかるからこその面白さもあり、一気に読んでしまう。

途中、自分の住んでいる地域で出会う猟師さんの特徴が、知り合いに酷似していてクスクス

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