2023年現在、日本では「未だに」法的に夫婦別姓が認められていません。
夫婦は結婚するとどちらかの姓を名乗らなくてはいけないことになっていて、どうしても双方が姓を変更したくない場合は『事実婚』という形をとることになります。
私自身が結婚をしてみて感じたこと、日本の制度では「旧姓が使えないのがとにかく不便だよね」って話です。
事実婚のデメリット
『事実婚』では法律上の夫婦ではないため、入籍する場合に比べ以下のようなデメリットがあります。
- 税金の控除が受けられない
- 家族関係を証明できる公的な書類がない
- パートナーが入院・手術になった場合、家族として同意書にサインできない
- 死後の葬儀などについても権利がない
いわば『お付き合いしている』状態と変わりません。
私は夫と結婚前に4年ほど同棲しており、実家とは離れ2人で生活をしているのに「万が一事故をした場合、連絡がいくのは実家」ということに対してずっと不安がありました。(通勤が事故が多い峠道)
私たちは『結婚』と『事実婚』その2つを天秤にかけて結婚して同姓にすることを選んだわけですが…
しかし、姓を変える手続きはめちゃくちゃ面倒!(しかも私だけ!モヤ!)
姓を変えた側だけが感じる「違和感」
主に姓を変えることがない男性の皆さん、30年近くなじんできた名前が変わる気持ちは、想像したことはありますか?
私が感じたのは自分ではない一人称が生まれる、いわゆる「分人」が生まれる感覚です。
ネット上でハンドルネームを付けて活動しているような。
でも、もともとの本名が公的に使えないんです。
(これが一番困る!!!!!!!!!)
正直、「結婚しましたあ~新しい苗字は○○だヨ!」っていうテンションではない。
友人には今まで通り接してほしいから、新しい苗字なんて知らなくたっていいと思ってる。
(苗字があだ名だった人なんて特にそうじゃないか)
この絶妙な違和感というか小さな苦しみというか、タブーなのか他の人からあまり聞いたことがないのだけれど、私は声を大にして伝えたい。
名前を変えるほうは、大なり小なり違和感がある。
正直「好きな人の苗字になれてうれしい」は、だいぶおめでたい人の意見だと思います。
同じ人間なのにそれを書類をもってしてじゃないと証明できないという、今までの自分がいなくなってしまうような心細さと、その理不尽さへの小さな苛立ち。
それだけ「名前」は私にとっては私自身なのだと気づかされた経験でした。
旧姓のほうが特徴もあり愛着もあるので、仕事上は今でも旧姓を名乗っています。
姓を変更する手続きは長期戦
姓を変えた側は、各種名前変更の手続きが必要です。
まず、入籍してすぐにマイナンバーと運転免許証の姓を変更。そしてそのコピーや住民票をもって銀行やクレジットカードの姓を変更する手続きをします。
これがまぁ面倒!
私はいまだに夫婦別姓ができない社会への小さな抵抗として、(あわよくば夫婦別姓法案が通過したら戻す可能性も含め)以下のような中途半端な対応をしました。
- メインのクレジットカードのみ名義を変更
- そのほかのクレジットカードは放置
- 銀行もメイン以外放置
そしてこの中途半端な抗い方のおかげで、結婚して一年半、いまだにぽろぽろ名前の変更の余波があり面倒に直面(自業自得)
- カードを新規発行しようとしたが同金融機関のカードと名前が違い、カード発行が長期化
- そして名義を変えようと思ったが印鑑がどれかわからず変えられない
- 通販サイトも送り先も支払い口座も全部名前変えなければいけない
ズボラで物の管理が得意じゃない私には発狂しそうになるくらい面倒なことが山積み状態。もうめんどくさいからそのままでいいやー。
そして、ここで思うのです。
「なんで私だけ!!!!!」
相手にも同じく面倒を与えたいと思うのは全くのお門違いですが、なんか不公平じゃない?と感じてしまう。
生まれ持った名前をそのまま維持する事くらい、どちらも使えるように認めてくれたっていいのに。
姓を変えたくないのではない、旧姓が使えないのが苦なのだ
この問題を考えた時に、ふと疑問が湧きました。
入籍しようと思った時に「私、苗字変えたくないからあなたが苗字を変えませんか?」という話には一度もならなかったんです。
私自身が感じているネガティブは「姓を変えること」ではなく、「旧姓が使えなくなること」だということに気づきました。
両方使えるならばむしろラッキーです。
夫や子供関係の人付き合いのときだけ、新姓を名乗ればいいのですから。
免許証に旧姓を表記すれば何か変わるか
私も最近まで知らなかったのですが、免許証やマイナンバーカードに旧姓が併記できるそう。
(これ、もっと知られてほしい!&窓口で案内してほしい!!!!)
入籍後一度も免許更新をしていないので、今の免許証は旧姓表記に裏面に新姓がスタンプされている状況。
次の更新の時に旧姓表記が可能か、その方法について聞いてみようと思います。
そして負の遺産と化している旧姓のまま残している諸々の口座たちの証明に、ドヤ顔で提示してみようと思っています。