田舎の一軒家に引っ越して1年以上経った頃、私は仕事を辞めた。
コロナウィルスが流行り始めたころで、数十人の感染者で大騒ぎしていたころのお話。
暇を持て余した5月のあたたかい日に、庭に山菜が生えているのを教えてもらった日の日記です。
ある日の訪問者さん【ご近所のおばあちゃん】
5月。
春の初めての半袖で過ごせるほど暖かい日、庭に椅子を出してイラストを描いたりしていた。
あまりにも心地よい風が吹くので少し昼寝をした。
ガサガサ音がしたので目を開けると目の前に知らないおばあちゃんが立っていて、豆腐をおすそ分けしてくれると言う。
なぜ道がない方からおばあちゃんが歩いてきたのか、頭の中にハテナマークが広がる。うちの祖母くらいの歳だろうか。
お返しに、とギョウジャニンニクを渡したら、「いいのよ、うち生えてるから。」と。
「うちも畑、やっているから遊びに来て。」と言われ、言われるがままついていく。
うちの庭の小屋の裏からおばあちゃんの家に繋がっていた。
そうか、ここから来たから道のないところから出て来たのか。おばあちゃんの存在が現実で良かったと安心する。
定年後20年前ほどに移り住んで来たそう。
本当に家庭菜園の影にギョウジャニンニクが自生していた。
話を聞くと土地をみにきた時、山ウドが生えていたのがこの土地に移住する決め手になったそうだ。
そんなこんなで、畑の作物のいくつかとわらびの塩漬けをいただいてしまった。また楽しみが増えた。
引っかかる一言『土地を見に来た時、山ウドが生えていた』
「そういえば、おばあちゃん山ウド自生してたって言ってたよね」
気になってうちの庭を歩くと、ん!?
ん!!!!!!!!!!!!!!!!!

いる!いる!
5、6本見つけた!
山ウドならぬ庭ウドだ。
私は子供の頃からそりゃあもうウドが大好きなのだ。
ちょっと、もうハッピーすぎて気が狂いそうだ。
後日、天ぷら・酢味噌和え・きんぴらとフルコースでいただいた。
大家さんはすごい【山ウド大量発見】
その約1週間後、ちょっとした工事があって大家さんが見にきていて、彼がお話ししている。
そのあと、すごい勢いで呼ばれる。
・・・・・・・・・・・・!?

嘘でしょ・・・!(歓喜)
大家さんに、ウドが生えてたって話をしたら「あら、こっちにもなかったかしら」と。
たんぽぽの中に力強く群生してた。
大家さんはすごい。何でも知っている。
もう引っ越して2年目だ。
去年なぜ全く気づかなかったのか。
5月っちゃ忙しかったし、庭の隅々まで観察しているような心の余裕は全くなかったからな。
ステイホーム生活は控えめに言って最高だ
新型コロナウィルスの影響で世界は少し変わった。
ステイホームと騒がれ、自粛しろと言われていることにストレスを感じているひともいると思う。
私はそもそも、そんなこと言われているから家にいるわけでも自粛しているわけでもない。
自分なりではあるが研究結果や流行の状況を読み取って「自分のために」基本家にいるという選択を自分でしている。
この町は人口も少ないが、病院もさほど大きくない。高齢者も多い。
イヤイヤ家にいるわけではなく、家に居たいから家にいる。(そう考えた方が楽しい)
多分、この状況が変わってもさほど生活に変わりはないと思う。
コロナで家にいることが推奨された2020年4月。
日本の自殺者は2割も減ったそうだ。
家で引きこもっていることが良しとされ、不要な他者との関わりも減り、心が落ち着いた人もいると思う。
私もどちらかと言うとそのタイプだ。
まぁ呑気なこと言っているなと思われると思うが、自分にとってはいい機会だった。
問題はこれを、この先復活するであろうゴリゴリの資本主義経済に、どう落とし込んでいくか、だ。